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1月11日は鏡開きの日です。日本人は一年の節目である正月をことのほか大切
にしてきました。お正月には年神様という新年の神様が各家庭に降りてくると
考えられ、その幸運を授けてもらうために、さまざまな習慣が定着しました。
鏡開きはその一つで、正月に年神様に供えた鏡餅を雑煮や汁粉にして食べ、一
家の円満を願う行事です。供えた鏡餅を下げる日は各地方によって違いがあり
ます。 年神様がいらっしゃる1月7日までを松の内といいます。鏡開きは、松の
内が明けた1月11日に行うのが一般的です。 松の内を15日とする地方では、鏡
開きを15日または20日に行う場合があります。また、京都では1月4日に行われ
ます。昔は「二十日正月」といって20日に鏡開きを行っていましたが、徳川三
代将軍家光が慶安4年4月20日に亡くなったため、月命日の20日を避けて11日に
なったといわれています。ちなみに私の実家ではおもちがなるべく柔らかいう
ちに開いてしまいます。年神様の宿ったお餅をいただいて、今年も福徳があり
ますように。
今日の一冊は、『ものと人間の文化史 89 もち(糯・餅)』(渡部忠世、深澤
小百合/著)です。稲には、稲魂(いなだま)とか穀霊(こくれい)という言葉
があるように、人間の生命力を強化する霊力があると考えられてきました。稲や
米の霊力は、それを醸して造る酒や、搗き固めて作る餅の場合には、さらに倍増
するとも考えられました。鏡餅を飾り、年神様をお迎えする行事、そしてお餅を
食べて幸運をいただくという文化を時代が変わっても受け継いでいきたいもので
すね。