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春の七種(ななくさ)を刻んで入れた七種粥を作って、万病を除くおまじないと
して食べる。七種は、前日の夜、俎に乗せ、囃し歌を歌いながら包丁で叩き、
当日の朝に粥に入れます。お正月にたくさん食べたおせち料理で疲れた胃を
休め、野菜が乏しい冬場に不足しがちな栄養素を補うという効能がある。
「春の七種」とは芹(セリ)、なずな、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座、
菘(すずな)、蘿蔔の7種類です。
今日の一冊は、『春の七草』(有岡利幸/著)です。古来から用いられてきた
春の七草(七種)の文化史。七草粥は正月七日に限定されるとはいっても、そ
れは七草粥という名称だけであって、実はそれ以外の日々でも、この七種類の
植物は食べられ続けてきたのである。それこそ日本文化文化の懐の深さとも言
える。七草の生態と人々とのかかわりの歴史をたどりつつ、野に咲く小さな草
花に心を寄せて季節に感応した日本人の自然観を見なおし、植物と人間との未
来への共生のみちをさぐります。
植物と関わる日本人の優しい心根がうかがえ、心豊かになる1冊です。同書シリ
ーズには「秋の七草」もあります。