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今日は、紅葉忌・十千萬堂(とちまんどう)忌こと、小説家であり、俳人でもある尾崎紅葉が亡くなった日です。
1868年、江戸の芝中門前町(現在の東京都の芝大門)で生まれました。その後、東大予備門に入学するが、入学以前から“緑山”と号して詩作にふけり、文学への関心を深めていったそうです。そして、仲間たちと共に雑誌を刊行し、自らも連載を始めると、たちまち注目を集めるようになりました。大学に進学し、在学中ながら読売新聞社に入社すると、それ以後は『読売新聞』が連載の中心になりました。同時期に活躍した幸田露伴とともに江露時代と呼ばれ、明治期の文壇の重鎮とされました。しかし、元々病弱だったところに、長期連載が災いし、健康を害してしまいました。積極的に治療を受けていましたが、その甲斐なく、35歳の若さで亡くなりました。死因は胃がんだったそうです。
今日の一冊は、『金色夜叉』(尾崎紅葉//著 新潮社)です。2004年に出版された文庫版です。
貫一と宮は許婚同士。しかし、宮は許婚である貫一を捨て、玉の輿に乗る。貫一は熱海の海岸で悲憤し、宮と別れ、復讐を心に秘めながら行方をくらます。数年後、貫一と宮は再開する。宮は貫一の心を知り、後悔の念から手紙を出すが、貫一は受け取らなかった。宮が自殺したと知った貫一は、彼女を許したが、ますます苦しくなった。ある日、用事で訪れた温泉宿で心中しようとしていた男女を救う。その折に、当時、宮が置かれていた状況を知る。
この作品はのちに、バーサ・M・クレーの『Weaker than a Woman(女より弱きもの)』の翻案であることが判明しています。