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今日は、銀座中村屋の創始者、相馬黒光(そうま こっこう)が生まれた日です。
1876年(明治9年)生まれの実業家。夫の愛蔵とともに新宿中村屋を起こしました。
生まれは仙台、波乱にみちた幼少期をすごした後、夫となる作家の愛蔵と出会い
ました。その後、新宿の銀座で買い取ったパン屋「中村屋」で経営を開始。そこ
で”クリームパン”や”カリー”などを誕生させました。そして何よりその「中村屋」
が文化人たちのサロン”中村屋”サロン”として機能したことでが大きな役割を果たし
ていました。
今日の一冊は、
『父ボース:追憶のなかのアジアと日本』(樋口 哲子∥著、中島 岳志∥編・解説)
インド独立運動の闘士”ラース・ビハーリー・ボース”の生涯を娘の視点から語った
一冊。ボースは独立運動により当時インドを植民地として支配してたいイギリス政府
に追われ、日本に亡命しました。そして日本での逃亡先が黒光と愛蔵の営む「中村屋」
でした。匿っている間にボースが夫妻に振る舞ったカレーが、今も有名な新宿中村屋
の「純インド式カリー」へと繋がります。
戦前、戦中と遠い日本からインド独立を願い独立運動を続けたボースの、父として一
人の人間としての像が浮かびあがってきます。合間にでてくる、黒光のエピソードに
戦前の女性が強く個を貫いて生きるには黒光のように強い意志が必要だったのだろう
かと思わされます。