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歌人・西行法師の1190(文治6)年の忌日である。享年72。俳句の季語となっている。
今日の一冊は、『西行』(目崎 徳衛/著)。
名家の出身で、北面武士としても奉仕していたことが記録に残る。和歌と故実に通じた人物として知られていたが、
保延6年(1140年)23歳で出家して円位を名のり、後に西行とも称した。
出家後は心の赴くまま諸所に庵を営み、しばしば諸国を巡る漂白の旅に出て、
多くの和歌を残した。旅の中にある人間として、あるいは歌と仏道という二つの道を歩んだ人間としての
西行が尊崇されており、能や落語、文学作品の題材として西行をとりあげたものは数多い。
2月15日は釈迦入滅の日であり、この前後に亡くなることは仏教の修業をする者にとっての憧れだったそうですが、
桜をこよなく愛していた西行は
「願はくは 花の下にて 春死なむ そのきさらぎの 望月のころ」という歌を生前読んでいた。
意味は「願うことなら、旧暦2月15日の満月の頃、満開の桜の下で死のう」という歌です が、
自ら望んだ日のわずか1日遅れで死んだ西行に、当時の人々は驚嘆したそうです。
武士・僧侶・歌人・旅人として特異な人生を送った西行。現在の文学にも取り上げられる
理由がわかりますね。