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2月20日はプロレタリア文学作家の小林多喜二の忌日になります。『蟹工船』
が特に有名で、現代においても働く貧困層や望まない非正規雇用労働者からの
共感を集める作品となっています。
プロレタリア文学とは、資本主義における労働者の苦境を描写することで共感を
集めていた文学であり、『蟹工船』においては、いかなる労働者を保護する規則も
存在しない絶海の船上において虐げられる労働者を描いています。
資本主義を批判する側面のある文学であることから、言論の自由の存在しない当時の
日本においては規制の対象になってしまい、作者の小林多喜二は特高警察に逮捕され、
獄中で拷問され虐殺されるという悲惨な最期を遂げ、『蟹工船』は1929年に完成した
にもかかわらず、完全な状態で出版することができたのは戦後の1968年になってから
でした。
今日紹介する一冊は『現代語訳名作シリーズ 蟹工船』(小林多喜二//著)です。
原文は時代がやや古いこともあり読みにくいという人でも読みやすい現代語訳の
作品になっています。
時代と場所は違いますが、2008年に流行語に選ばれるなど、現代でも共感を呼ぶ
作品になっていますので、是非読んでみて下さい。