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今日は春の季語でも知られる「犀星忌」(さいせいき)です。
1962年(昭和37年)3月26日、金沢市生まれの詩人で小説家、室生犀星
(むろお さいせい)氏が亡くなりました。
『愛の詩集』『抒情小曲集』などの抒情詩は大正期の詩壇を牽引するだけで
なく、小説家としても活躍した室生犀星。随筆、童話、俳句にも数々のすぐれ
た作品を残した犀星の作風は、初期、中期、晩年を通して多岐にわたり次々と
新しい境地を拓いていきました。
不遇な出生を乗り越えながら生まれた犀星の文学は、ふるさとや自然に対す
る思い、弱い者への慈しみが溢れています。
「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」
という犀星の一節は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
ふるさとは帰る場所ではなく、異郷に居ながら思うものであるという寂しくも
力強い犀星の詩は、不遇にあっても強く生きる人生への賛歌にも感じられます。
本日は、当館にも多数蔵書のある室生犀星の作品の中から、
立東舎 乙女の本棚シリーズ
『詩集「抒情小曲集」より』(室生 犀星/著 げみ/絵)
を紹介いたします。
本書は故郷・金沢への思いや、その風景をうたった作品が中心となった
室生犀星の「抒情小曲集」が、現代風の美しいイラストとリミックスされた
「乙女の本棚」シリーズの第22弾です。