スロベニアは、北はオーストリア、西はイタリア、北東にハンガリー、南はクロアチアと隣接する中央ヨーロッパの国です。1990年の今日、国民投票によりスロベニアがユーゴスラビアから独立することが決定し、この日を「独立記念日」と制定しました。
旧ユーゴスラビア社会主義連邦共和国を構成する国のひとつだったスロベニア。ユーゴスラビアはマケドニア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、スロベニア、モンテネグロの6つの国家からなる連邦国家として1945年に成立しましたが、1980年代後半の不況によって構成国による自治・独立要求が高まり、1991年から2001年まで続いたユーゴスラビア紛争により解体されました。
旧ユーゴスラビアはその国の多様性から”7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字を持つ、1つの国家と形容されました。
「7つの国境」は、イタリア、オーストリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、ギリシャ、アルバニアを表し、「6つの共和国」はスロベニア、セルビア、モンテネグロ、マケドニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナのこと。「5つの民族」はセルビア人、クロアチア人、スロベニア人、モンテネグロ人、マケドニア人のことを言い、「4つの言語」はセルビア語、クロアチア語、スロベニア語、マケドニア語。「3つの宗教」はカトリック、正教、イスラム教で、「2つの文字」ラテン文字とキリル文字のことを、そして「1つの国家」とはユーゴスラビアを意味します。
今日は、『チェコ語の隙間:東欧のいろんな言葉の話』(黒田龍之助//著)をご紹介します。
この本は、スラブ語を専攻していた著者の、スラブ語圏の言語にまつわるエッセイ本です。タイトルは「チェコ語の隙間」ですが、ポーランド語、スロヴァキア語、そしてスロベニア語など、ヨーロッパ東部のさまざまな言語に触れることができます。
そもそもスラブとは、ヨーロッパ東部からアジア極東にかけて広く分布する民族の総称だと著者は冒頭で説明しています。たとえば、ロシア人やウクライナ人、チェコ人にクロアチア人にスロベニア人などの民族を指します。そして、彼らの話す言葉をインド・ヨーロッパ語族スラヴ語派と分類します。
著者がスラブ語圏で出会った、生活に溶け込んでいるその土地の言葉たちから書き上げた短い旅行記のようなこの一冊。外国語をより身近に感じる事ができるのではないでしょうか。
旧ユーゴスラビアは「4つの言語」(セルビア語、クロアチア語、スロベニア語、マケドニア語)と形容されると冒頭で紹介しましたが、この本を読むと言語は4つ以上あり、世界中で学ばれ、人々によって使われていることが分かります。
今日はスロベニアの独立記念日ということで、『チェコ語の隙間:東欧のいろんな言葉の話』をご紹介しました。