1月26日は文化財防火デーです。
昭和24年1月26日に、現存する世界最古の木造建造物である法隆寺の金堂が炎上し、壁画が焼損したことに基づき制定されました。この事件により、火災やあらゆる災害による文化財保護の危機を深く憂慮する世論が高まり、翌昭和25年に文化財保護の統括的法律として文化財保護法が制定されました。国民一般の文化財愛護に関する意識の高揚を図っています。
そこで今日は『茅葺き伝~義範親方と茅葺き屋根~』(大﨑光雄//著)を紹介します。
ここ梼原町で生まれ育ち、今では四国内だた一人の茅葺き親方である川上義範さんがこの本の主人公です。葺き師としての無形の技の記録、そして「持続可能な暮らし」が注目される現代だからこそ、茅葺きの魅力や意義を伝える一冊です。
川上さんは茅葺き屋根を後世に伝えるため、現役で全国各地を飛び回っており、数多くの重要文化財の保存修理に携わってきました。さらに、梼原町にある隈研吾建築のひとつ「マルシェ・ユスハラ」の茅葺きの壁面は川上さんとのコラボレーションによって生み出されたものです。伝統的な木造建築文化の要素を取り入れ、屋根ではなく外壁に取り入れた茅葺きはそのデザイン性の高さから、世界各地から人々が訪れる建築物でもあります。
時代の変化と共に減少した茅葺き民家ですが、近年、茅は持続可能で循環する植物資源として注目され始めてもいます。農村や茅葺き民家など”日本の原風景”が残るここ梼原町には、先人たちの知恵を受け継ぎ後世に伝えようとする人々、技、そしてそれらによって大切に守り受け継がれてきた文化財があります。
著者の「地域にこだわりつつ過去に学び、未来社会に役立つ方策への気づきにつなげてくれれば」という熱い思いがひしひしと伝わってくる、そんな一冊ではないでしょうか。
今日は文化財防火デーにちなみ『茅葺き伝~義範親方と茅葺き屋根~』をご紹介しました。