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3月27日は芸術家・作家の赤瀬川原平の誕生日です。芥川賞
を受賞している小説家であると同時に、作家になる以前では
犯罪と芸術の境目にあるような作品を発表していたことで
「千円札裁判」という裁判にまで発展し、有罪判決まで受けた
ことのある波乱万丈な人生を歩んだ方です。
元々は前衛芸術家であった赤瀬川氏は、身の回りにある扇風機や
ソファなどを梱包する梱包芸術などを行っていました。そんな芸術
活動の中でも問題視されたのが千円札の表面のみを一色でコピーした
「ニセ千円札」を使った作品群で、表面しかないことからもひと目で
贋札とわかるようなつくりではあったのですが、贋札を取り締まる
法律には見た目が紛らわしいものの製造も禁止するように書かれて
いることから、赤瀬川氏は逮捕され、有罪判決を受けました。
この有罪判決以降は前衛芸術から身を引き、作家活動を行ってきた
そうです。後年に出版されたエッセイでは老いることを「老人力」が
ついてきたと表現し、老いは悪いことではないと説いたことが話題に
なり、その年の流行語大賞に老人力が選ばれました。
今日紹介する一冊は『新解さんの謎』(赤瀬川原平/著)です。
国語辞典の本ごとの差に赤瀬川氏が注目した一冊で、表現が独特
な新明解国語辞典をとりあげたものになっています。