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本日10月4日は動物愛護、動物保護のために定められた「世界動物の日(World
Animal Day)」です。
「世界動物の日」には、動物たちの幸福を高い水準で達成するという目的があり、
世界各地で動物愛護活動や絶滅危惧種の動物に関心を持ってもらうための活動が行
われています。
日本ではまだあまり知られていませんが、今日は世界100カ国以上で、約1000にも
及ぶイベントが開催されているのです。
イベントの内容は、シェルターのオープン、パレード、ワークショップ、避妊去勢
手術の促進、狂犬病予防促進など非常に多岐にわたっています。
本日紹介する『動物の箱舟』(ジョエル・サートレイ∥写真・著)も、そんな動物
保護活動にまつわる一冊です。
本書は写真集です。
この本の著者であるナショナルジオグラフィックのベテラン写真家、ジョエル・サ
ートレイは、「フォト・アーク(Photo Ark)」という写真撮影プロジェクトを立ち
上げています。これは、恐ろしいほどの勢いで進む生物種の絶滅を、写真を通して
防ぐためのプロジェクトで、現在世界の動物園・保護施設で飼育されているおよそ
1万2000種全ての生物種を記録に残そうとする壮大な取り組みです。
動物の姿を記録し、発表することで、人々に関心を持ってもらうだけでなく、未来
の世代にこれらの動物たちを残そうと訴えることを目的としています。
撮影がすべて終われば、フォト・アークはこれらの動物の存在を示す貴重な記録と
なります。
「アーク」とは箱舟のことを指します。
つまりフォト・アークとは「写真板ノアの箱舟」を意味しているのです。
今日紹介する『動物の箱舟』は、このフォト・アークから約400種を掲載した写真
集です。
フォトアークは全て白か黒の背景で統一されており、様々な生き物のそのままの
姿を生き生きと、ユーモラスに、時にアーティスティックに映し出しています。
動物たちの神秘的な表情、昆虫たちの精密な造形、爬虫類のコミカルな振る舞い、
鳥たちの鮮やかな羽一本一本までを映し出した写真は、自然の偉大さを実感し、感
動せずにはいられません。本の要所要所に、動物たちとの撮影秘話も記されており、
どのように多種多様な動物たちのスタジオ撮影を実現させたのかも分かります。
美しい写真を通して地球上の多様性を紹介するとともに、その危機に警鐘を鳴ら
す、「世界動物の日」にっぴったりな一冊です。