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誰しもが知る世紀の名画『叫び』。
人生を通じて賞賛と誹謗、静謐と狂気、貧困と成功の両極端を行き来することになるムンクは、1863年のこの日ノルウェーで生まれました。
幼少よりムンクは気管支炎を患い、また妻を早くに失うことで狂信的なキリスト教徒になった父からは過激なほどに厳しい教育を受けました。
後年彼は、「病と狂気と死が、私の揺り籠を見守る暗黒の天使だった。」と語っています。
通常の学生生活を送ることが出来なかった彼は、父の反対を押し切ってかねてより望んでいた画家への道を歩み始めます。
しかし彼の画風は全く評価されず、そればかりか激しい批判を受け、個展が打ち切りになるような事態も起こりました。
フランス〜ドイツ〜ノルウェーと拠点を変えながら試行錯誤に満ちた創作生活を送ったムンクの評価が確立したのは、彼が60歳を過ぎた頃でした。
たゆまぬ努力に裏付けされ、苦悩と実験に満ちた彼の作品は新しい世代の芸術家たちに熱烈に支持されます。それに伴い世間の美術感覚がムンクにようやく追いついたのでした。
1944年1月23日、彼は愛読するドストエフスキーの『悪霊』を読んでいる最中に急性の気管支炎を起こし、80年の生涯に幕を閉じます。
2020年には祖国ノルウェーに13回建てのムンク美術館が建造され、個人の名が冠された美術館としては世界最大のものになります。
皆さんもぜひ『悪霊』を読みながら(難解な作品として知られますので、まずは漫画で)、ムンクに思いを馳せてみてください。