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現代に連なる日本のSF、ミステリーの系譜。
その中で大きな功績を残した作家として挙げられるのが海野十三(うんのじゅうざ)です。
1897年の今日、海野十三こと佐野昌一は徳島県に生まれました。
彼は電気工学をはじめとした広い科学知識を生かし、生業の役所勤めの傍ら漫画や専門誌に寄稿していました。
ある時作家の横溝正史と出会い、推理小説の執筆を進められます。完成した『電気風呂の怪死事件』は驚きをもって世間に迎えられ、その後彼の科学知識と推理小説を合体させたことで独自のSF(サイエンスフィクション)世界が出来上がり、近年ではその特異な作品群を再評価する動きも出ています。
敗戦後は失意のうちに過ごし、喀血を繰り返しました。横溝とは文通を続けており、ある時は海野が横溝に家を購入する資金を用立てたとも言います。
温厚な性格で麻雀を愛し、『麻雀は運が十さ(※筆名の一説)』と嘯く彼は今も安らかに多磨霊園に眠っています。