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1970年8月2日は東京の銀座・新宿・池袋・浅草で歩行者天国が実施された
日です。これ以前にも縁日などで小規模な歩行者天国は行われていましたが、
繁華街のメインストリートを定期的に歩行者天国化させる試みはこれが最初
とされています。
歩行者天国が始まる以前の1970年代前後は、乗用車が普及したこともあり、
交通事故による死者数が増え続けており、死者数が日清戦争時の数を上回る
勢いであったことから交通戦争ともいわれるような時代でした。
そのため、警視庁としても死者数を減らしたいため、苦肉の策として出され
たものが、人出の多い週末の繫華街の車道を歩行者空間にするという、歩行者
天国だったのです。交通安全のための歩行者天国でしたが、車道を歩ける非日
常的空間は好評で、それまでを超える人が繁華街に訪れるようになったほか、
竹の子族などのストリートパフォーマーが誕生したという、商業的・文化的に
大きな意味のある制度になりました。
今日の一冊は『土佐の日曜市:てくてくお城下市春夏編』(高知市産業政策課)です。
長い歴史を持つ高知県の日曜市も、現在の形態は歩行者天国で行われており、
活気に満ちた空間になっています。高知を代表するイベントの一つですので、
日曜市に行ったことがないという方は是非、読んでみて雰囲気を味わってみて
下さい。