『雲の上の縁人紹介』4人目は、図書館絵本コーナーを拠点に行われる
育児支援プログラム「カンガルーのおなか」に携わっていただいている
吉村 るみ子(よしむら るみこ)さんです。
る=吉村るみ子さん 雲=雲の上の図書館
雲:今日はよろしくお願いします。るみ子さんには開館当時から、図書館の
絵本コーナーで開催されている「カンガルーのおなか」という育児支援
プログラムに携わっていただいています。
る:はい。毎週月曜日には赤ちゃんと保護者の皆さんが集い、和気あいあい
とお話ししながらゆったりとした時間を過ごしています。土日は町内外
を問わず訪れる多くの子どもたちを中心に、賑やかな遊び空間を演出し
ています。
雲:育児保育に専門的な知見を持つるみ子さんに、職員の目が届きにくい絵
本コーナーをフル活用していただいており、とても助かっています。育
児保育のお仕事は、いつ頃からこころざしていたのですか?
る:私は梼原町中平で生まれ育ち、高知市内の高校を卒業する時に母から
「看護か保育か、どちらかの資格を取りなさい」と言われました。なん
となく子どもと触れ合える仕事が良いなと思い、大学で保育士免許を取
得しました。
雲:その後すぐ保育のお仕事に就かれたのですか?
る:はい、高知市内の幼稚園に勤め始めました。ところが24歳の時に東京で
暮らしている同郷の方との縁談がまとまり、上京して結婚することにな
ったんです。
雲:るみ子さんにとっては生活環境ががらりと変わり、忙しくも楽しい新婚
生活だったのでしょうね?
る:はい。しかし警視庁の職員であった主人の仕事は多忙を極め、ある時過
労からか倒れ、若くして亡くなってしまいました。
雲:それは大変なご経験をされたのですね。
る:主人亡き後高知の幼稚園に戻ることも考えましたが、警察の仕事をお世
話していただきそのまま東京で暮らすことにしました。主人の仕事にか
ける思いを自分なりの形で継ぎたいという気持ちもあったと思います。
雲:大都会でお一人の生活が始まったのですね。
る:仕事に不満はなかったのですが、せっかく資格をとった保育で何か新し
いことをしてみたい気持ちもありました。仕事をしながら通うのに都合
が良い場所に「モンテッソーリ教育」の学校を見つけ、カルチャースク
ールに通うつもりで通学を始めました。
雲:モンテッソーリ教育とはどういった趣旨の教育法なのでしょうか?
る:子どもに知識やしつけを教えるのではなく、本来一人一人が持っている
ポテンシャルを十分に引き出すために最適の環境を作り、自発的な成長
を促すというヨーロッパ発祥の教育法です。
雲:その趣旨に惹かれて勉強を始めたのですか?
る:(笑)いいえ。本当に何となく、通うのに都合が良かったというだけで
す。でもここでモンテッソーリのディプロマ(卒業証明)を取得したこ
とが、現在まで繋がる仕事の原点になりました。
雲:警察のお仕事は退職されたのでしょうか?
る:はい。幸運にも卒業した学校で講師をする仕事をいただき、昼間は保育
の現場で子ども達と過ごしながら、夜間は後進を指導する生活が続きま
した。
雲:すっかり東京の生活に馴染まれて、梼原が遠くなった印象ですね。
る:ずっとその仕事を続けても良かったのでしょうが、いつかは梼原に戻る
と決めていました。それも自分が元気なうちに、アクティブに動けるう
ちに帰りたいという気持ちがありました。それで長年勤めた職場に退職
を願い出て、梼原こども園のお仕事をするようになったんです。
☁☁☁
雲:都会の保育園、それも海外の教育方針を扱ってらっしゃったるみ子さん
のノウハウは、すぐに梼原こども園に活かすことができたのでしょうか?
る:いいえ。やはり随分と違いがあり、改めて梼原の方針に沿った方法を習
得しなければ、という思いでした。雲の上の図書館計画が始まる頃、梼
原町教育委員会には一貫教育センターが立ち上がり、そこに配属されま
した。
雲:そして現在雲の上の図書館で実施されている事業に繋がるのですね。
る:はい。開館後数年は高知市内のモンテッソーリ教育の指導に携わりなが
ら図書館の仕事を行う日々でしたが、現在はしっかり梼原に腰を据えて
子どもたちと関わっていきたいと考えています。
雲:きっと壮大な夢や目標をお持ちなんでしょうね?
る:秘密です(笑)。今は0歳~の小さい子どもに接する勉強をしながら、
梼原町の自然に囲まれて生活しています。
雲:今日はありがとうございました。
最後に【おすすめの本】を3冊教えてもらいました。